分析項目一覧
1.花粉分析(細粒微粒炭量測定,強熱減量試験を含む)
2.大型植物化石(果実・種子,葉,炭化種実)
3.樹種同定(自然木,加工材,木製品,炭化材)
4.植物珪酸体分析
5.珪藻分析
6.寄生虫卵分析
7.トイレ状遺構土壌分析
8.堆積物の特性(粒度分析など)
9.放射性炭素年代測定(AMS法)
テフラ分析,化学分析,元素分析についてもご相談に応じます
私たちは、微化石分析では試料採取、処理、同定、報告書作成など、最初から最後まで一人の担当者が行います。堆積物のどの部分を分析するか、どのように処理を行うかは重要であり、それにより結果が異なることがあります。また、作業により担当が変わると、結果の解析が十分できなくなると考えています。
花粉分析
ウルシ花粉化石(約10,500年前) アサ花粉化石(約6,000年前)
福井県鳥浜貝塚から出現した花粉化石(吉川ほか(2016) 植生史研究24巻2号)
花粉化石の同定には、顕微鏡の対物レンズは高解像度のPlan Apoが望ましい。 花粉分析は、処理方法により花粉組成が異なることがあり注意を要する。
古代の森研究舎では、生物顕微鏡の対物レンズはPlan Apo(プランアポクロマート)を使用しています。ウルシやアサなど種レベルで同定するには最低限必要な装備です。生物顕微鏡の対物レンズはPlan(プランアクロマート)で十分と思っている方もいるかもしれませんが、普段、Plan Apoで観察しているとPlanは霞がかかった状態で、詳細な模様や構造の観察はし難い。(Plan Apo:高解像力で平坦性・色収差補正に優れたレンズ)
処理方法は結果に大きな影響をもたらします。どのように試料を採取して分析するか、どのような順番で処理を行うか、どのようにプレパラートを作成するにより、本来の組成から歪んだ結果になります。あまり問題にされていないようですが、特に重液を用いた選別はその処理の順番が違うと結果が異なることがあり細心の注意が必要です。
大型植物化石 ー細かな炭化した破片でも種がわかるー
大型植物化石分析というと、肉眼で確認できるような大きな果実や種子の種類を特定する行為のみと思われがちですが、実は細かい破片になってもその種類を特定できるものが多くあります。陸上の遺構や住居には時々炭化した種子の集まりが発見されるものの、あまり種子が入っていないように見えます。しかし、土を丁寧に観察していくと重要な情報が含まれている可能性があります。土を水で洗って形のある物を選び出すと黒い破片が沢山見つかります。実はこのような黒い点々の大半は炭化して真っ黒になった木材や果実や種子の非常に細かい破片なのです。そこで実体顕微鏡や反射照明型顕微鏡などを使って表面や壁断面の微細な構造を確認しながらどの種類であるかを同定していきます。
たとえばトチノキ種皮は肉眼ではつるつるで真っ黒に見えますが、顕微鏡で観察すると指紋や点々が不規則に浅く刻印されて見えることがわかります。一方同じように薄い皮に見えるクリ果皮は果皮壁の細胞が上下方向に規則的に並んでいることから、どの破片でも縦に細い筋状の構造が確認できます。
こうした観察で得られた種子破片のデータを時期毎に比較してみると、「オニグルミはほぼ連続的に利用され、クリは縄文時代前期中葉から利用率が高くなり、トチノキは縄文時代中期中葉頃から継続的利用があったことがうかがえる」というように時間経過とともに植物の利用状況が変化していく様子がわかります。
トチノキ種子 トチノキ種子表面模様 炭化物破片