クルミ属は高さ10mくらいになり、樹形は丸く、枝はまばらである。羽状複葉で長さは60cm前後と大きく、小葉の裏や葉柄に毛がある。クルミ属のうち日本に自生している種類にはオニグルミとヒメグルミがある。両者の違いは葉や果実の状態ではほとんどわからないが、内果皮の形態が大きく異なり、オニグルミは球形で表面の凹凸が激しく、ヒメグルミは扁平で表面は平滑である。オニグルミやヒメグルミが生育しているのは北海道から九州のおもに河川沿いであるが、子葉に脂肪分が多く含まれるため食用としてさまざまな場所に植栽されている。普通に街中で販売されているのは、ヨーロッパ〜アジア西部原産のカシグルミ(テウチグルミ)という内果皮が薄く割りやすい種類で、東北や長野で栽培されている。
オニグルミの花は、開葉と同時に太い尾状の雄花が咲き始める。完全に開花すると雄花は20cmほどに伸びる。雄花の根元には花柱だけが赤く目立つ雌花をつける。
クルミ属の花粉型は散孔型で、極観は多角形、赤道観は楕円形である。発芽口は孔型て゜赤道面に6-8個、遠心局面に1-3個ある。孔の部分では外層が厚くなり突出し、内層は分布しない。外壁は外表層が発達する構造で、外壁表面は顆粒状紋である。オニグルミとヒメグルミの花粉形態は近似するが、オニグルミのほうが相対的に球形を呈する。
クルミ属の材組織はやや大きい道管がまばらに配列し、年輪がわかりにくい「散孔材」である。道管は単独だけではなく2,3個が放射方向に複合する場合があり、晩材部では早材部の半分くらいの径になる。接線断面を見ると、放射組織の幅が1から3細胞ある。中央やや下よりに見えているのは道管の壁にあいた交互壁孔で、規則的に並んでいるのがわかる。また道管のせん孔は単せん孔である。
ヒメグルミの花
上部にある赤いのが雌花で
下部緑色の垂れているのが雄花
オニグルミ花粉(遠心極観)
ヒメグルミ花粉(遠心極観)
横断面
接線断面
放射断面
木 材
花と花粉